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リフォーム工事の工程管理|工程表の作り方と工期遅延・クレームを防ぐ共有の仕組み

工期遅延をクレームにしない リフォームの工程管理

「解体したら想定と違った」「職人の手配が1日ずれて、そのまま工期が3日延びた」「延びたことを施主様にうまく伝えられず、クレームになった」。リフォーム工事の工程は、新築に比べて短いにもかかわらず、狂う要因を多く抱えています。

そして住みながらの工事が多いリフォームでは、工期の遅れがそのまま施主様の生活の負担になります。本記事では、リフォームの工程が狂いやすい構造を整理したうえで、工程表に入れておく項目、遅延を防ぐ段取りの組み方、遅れを小さいうちに捉えて信頼を守る共有の仕組みを、建設業法の工期のルールとあわせて解説します。

リフォームの工程はなぜ狂いやすいのか

工程の遅れは現場の怠慢から生まれるのではありません。リフォームという工事の性質そのものに、狂いやすさが組み込まれています。

解体してみないとわからない部分がある

壁や床を開けてはじめて、下地の腐食や配管の劣化、図面と違う構造が見つかる。既存の建物に手を入れるリフォームでは、この「開けてみないとわからない」を完全になくすことはできません。現地調査の精度を上げて減らすことはできても、ゼロにはならない前提で工程を考える必要があります。

多工種が短期間に「点」で連続している

数日から数週間の工期に、解体、大工、設備、電気、内装と複数の工種が入れ替わりで入ります。それぞれの職人は他の現場も抱えており、予定は1日単位で埋まっています。どこかが1日ずれると次の職人の都合がつかず、1日の遅れが3日、1週間へと膨らむ。玉突きで遅れが増幅するのが、多工種短工期のリフォームの特徴です。

追加・変更が工程表に反映されない

工事が始まってから「ここもついでに」と追加の要望が出るのはよくあることです。問題は、金額の調整はしても、工程への影響を確認しないまま引き受けてしまうことです。材料の取り寄せに2週間かかる商品を「ついで」で受ければ、工期はそのぶん延びます。追加工事を受けるときは、金額と一緒に工期への影響も書面で合意することが欠かせません。

図1 小さなずれが工期遅延とクレームに育つ流れ
発端想定外が見つかる解体後の下地劣化、追加要望、商品の納期遅れ
数日後手配が玉突きでずれる次の職人の都合がつかず、1日の遅れが数日に膨らむ
その後説明が後手に回る「なんとか取り戻せるかも」と報告を先送りする
結果遅れがクレームに変わる遅延そのものより「聞いていない」が不満の核になる

遅れは防ぎ切れない。クレームに変わる前に捉える仕組みが要る

遅延がそのままクレームになる構造

住みながらの工事は、1日の遅れが生活の負担になる

キッチンが使えない日が1日延びれば外食が1日増え、在宅の立ち会い予定が動けば仕事の調整をやり直すことになります。新築の引き渡し遅れと違い、リフォームの遅延は施主様の毎日の生活に直接響くのです。だからこそ、工程の精度はそのまま顧客満足の土台になります。

不満の核は遅れではなく「聞いていない」

クレームになった案件を振り返ると、施主様が怒っているのは遅延そのものより、知らされていなかったことである場合が少なくありません。想定外の発覚は、きちんと説明すれば「古い家だから仕方ない」と理解されることが多い。報告を先送りし、聞かれてから答える形になった瞬間に、同じ遅れが不信に変わります。

リフォームの工程表に入れる項目

工程表は、職人を手配するための表であると同時に、施主様と共有する「約束」です。工種と日付だけの表では、遅れの芽を事前に見つけられず、施主様も生活の段取りを組めません。次の7つの項目を入れておくと、工程表がそのまま遅延とクレームの予防になります。

項目書く内容入れておく理由
工種と作業日解体・大工・設備・電気・内装など、工種ごとの作業日と順番職人の手配と、前後の工種のつながりを確かめる
担当者・協力業者工種ごとの担当者と連絡先ずれが出たときに、誰に何を確かめるかを決めておく
発注期限と納期商品ごとの発注期限と、メーカーの納期納期待ちで工事が止まるのを防ぐ
判断日解体後に下地や配管を確かめ、進め方を決める日想定外を、工程の中で吸収する
予備日想定外や、雨などで作業できない日に備える日遅れを残業や休日の作業に頼らずに吸収する
施主様の生活への影響水まわりや電気が使えない日、立ち会いが必要な日施主様が生活の段取りを組めるようにする
完了確認・手直し・清掃引き渡し前の確認、手直し、清掃の日引き渡し日を守る

国土交通省の「工期に関する基準」(中央建設業審議会が作成し、令和6年3月に改定)は、工期を見積るときに、着工前の準備期間や、完成後の自主検査・清掃などの後片付け期間、雨や猛暑で作業できない日を考慮するよう示しています。住宅の改修工事については、施工できない日程や時間帯といった施工条件と作業効率を考慮することも挙げています。リフォームであれば、マンションの管理規約で決まっている作業時間や、施主様の在宅の都合がこれにあたります。

また建設業法第20条は、見積書に、材料費や労務費などの内訳とあわせて「工事の工程ごとの作業及びその準備に必要な日数」を記載するよう、建設業者に求めています(努力義務)。工期に関する基準でも「費用の見積りだけでなく日数も見積りをする」と説明されています。工程表は着工の直前に作るものではなく、見積と一緒に作るものだと考えましょう。

工期遅延を防ぐ段取りの設計

遅延対策というと現場での挽回が語られがちですが、勝負は着工前にほぼ決まっています。段取りは次の4ステップで設計します。

図2 工程を狂わせない段取りの4ステップ

STEP1

着工前に決め切る

仕様・商品・数量を確定し、着工後の判断を残さない

STEP2

判断日と予備日を組み込む

解体後の確認日、想定外の吸収日を工程に入れる

STEP3

発注を工程から逆算する

納期の長い商品から発注期限を決める

STEP4

日次で共有する

現場・会社・施主様が同じ進捗を見る

現場でのがんばりではなく、着工前の設計で工程は決まる

着工前に仕様と商品を決め切る

工程が狂う案件の多くは、着工の時点で決まっていないことを残しています。「クロスの品番は工事中に決めましょう」が納期待ちの手待ちを生み、「器具は現物を見てから」が再手配を生む。仕様・商品・数量を着工前に確定し、着工後に判断を残さないことが、工程管理の最大の遅延対策です。打ち合わせのその場で仕様と金額を確定できるほど、着工後の判断は減らせます。

解体後の判断日と予備日を工程に組み込む

「開けてみないとわからない」をなくせない以上、わかったときに対処する時間を、あらかじめ工程に入れておきます。解体の翌日を下地確認と方針判断の日として確保し、解体後に下地が見える工事や納期の長い商品の取り付けなど、ずれやすい工程の後ろに予備日を置く。予備日が使われなければ、前倒しで引き渡せばよいだけです。ぎりぎりの工程表は一見効率的に見えて、最初の想定外で崩れます。

納期の長いものから発注期限を逆算する

システムキッチンやユニットバス、造作材など、納期が数週間単位の商品は、発注の遅れがそのまま工期の遅れになります。工程表を作ったら、使用日から納期をさかのぼった発注期限を一覧にし、誰がいつ発注するかまで決めておきます。「発注したつもり」「メーカーの在庫切れに気づかなかった」は、期限の一覧化だけでほぼ防げます。

主要な資材の供給の遅れや価格の高騰など、工期や請負代金に影響する事象が起きるおそれがあると認めるときは、契約を結ぶまでに施主様へ通知することが、建設業法で義務づけられています(第20条の2第2項)。通知したうえで実際にその事象が起きた場合は、工期の変更について協議を申し出ることができ、施主様は誠実に協議に応じるよう努めることとされています。納期の不安は、契約の前に正直に伝えておきましょう。

工期は「通常必要な日数」で約束する

受注を急ぐあまり、短すぎる工期を約束してしまうのも遅延の原因です。建設業法は、通常必要と認められる期間に比べて著しく短い工期で請負契約を結ぶことを、注文者だけでなく、2024年に公布された改正によって建設業者にも禁じています(第19条の5)。施主様の希望日に合わせるときも、判断日と予備日を削らずに組んだ工程を示し、無理のない完了日で合意しましょう。

遅れを小さいうちに捉える共有の仕組み

段取りを整えても、遅れの芽は出ます。差がつくのは、それを何日目に捉えられるかです。

現場からの日次報告を型にする

「今日やったこと」「明日の予定」「気になること」の3点を、写真とともに毎日報告する。この型を現場のルールにすれば、遅れの芽は当日のうちに会社へ届きます。報告の手段は電話でも写真つきのメッセージでも構いません。重要なのは、報告するかどうかを現場の判断に委ねず、毎日の型にしてしまうことです。

施主様への進捗共有も仕組みにする

在宅の施主様には毎日の作業終わりに一言、不在がちな施主様には週の節目に写真つきで、工事がどこまで進んだかを伝えます。順調なときの報告こそ価値があります。ふだんから進捗が届いているからこそ、想定外が起きたときの説明も「いつもの報告」の延長として冷静に受け止めてもらえるのです。施工中の連絡は、顧客満足度を左右する接点のひとつでもあります。

遅延がわかった日に、リカバリ案とセットで伝える

遅れが確定したら、判明したその日に伝えるのを初動のルールにします。伝える内容は「何日遅れるか」「なぜか」「どう取り戻すか、取り戻せない場合はいつ終わるか」の3点です。取り戻せる見込みがあっても報告を先送りしない。先送りした報告は、どれだけ正確でも言い訳に聞こえてしまいます。

よくある質問

リフォームの工程表は、施主様にも渡したほうがよいですか?

渡しましょう。ただし職人向けの工程表をそのまま渡すのではなく、水まわりや電気が使えない日、立ち会いが必要な日、引き渡し日を中心にした施主様向けの版を用意します。施主様が生活の段取りを組めるようになり、遅れが出たときも、工程表を一緒に見ながら説明できます。

予備日はどれくらい取ればよいですか?

工事の内容によって変わるため、一律の目安はありません。解体後に下地が見える工事、納期の長い商品の取り付け、天候の影響を受ける外部の工事など、ずれやすい工程の後ろに置くのが基本です。過去の現場で遅れた工程と日数を記録しておくと、自社に合った予備日の置き方が見えてきます。

遅れた分を、残業や休日の作業で取り戻してもよいですか?

社員の残業や休日出勤で取り戻す前提の工程は避けましょう。2024年4月から建設業にも時間外労働の上限規制(厚生労働省)が適用されており、時間外労働は原則として月45時間・年360時間までです。国土交通省の「工期に関する基準」も、住宅・不動産分野について、災害や不可抗力などで生じた遅れを、違法な長時間労働を前提にしなければ取り戻せない場合は、引き渡し日の変更に理解を求めるという考え方を示しています。遅れが確定したら、無理な挽回よりも先に、施主様と新しい完了日を合意することが大切です。

まとめ

リフォームの工程が狂うのは、解体後の想定外、多工種の玉突き、着工後の追加・変更という構造的な要因によるものです。対策の主戦場は現場ではなく着工前にあります。工程表に発注期限・判断日・予備日・施主様の生活への影響まで書き込み、仕様と商品を決め切ったうえで、無理のない工期で約束する。そのうえで、日次報告と施主様への進捗共有で、遅れの芽を小さいうちに捉えます。

遅れをゼロにすることはできませんが、遅れがクレームに育つ前に手を打つことはできます。工程管理とは、工事を予定どおり進める技術であると同時に、想定外が起きても信頼を守る仕組みづくりです。

着工前に「決め切る」を支える「イエプロ」

工程管理の土台は、着工前に仕様と金額を決め切ることです。イエプロは、自社で扱う商品をプランとして登録しておけば、画面で商品を選ぶだけで見積が完成します。打ち合わせのその場で仕様と金額を確定でき、「工事中に決めましょう」を減らせます。工事中に追加の要望が出たときも、その場で内容と金額を見積で示し、施主様に確認サインをいただけます(確認サインに法的効力はありません)。

お見積りには「成約」「工事中」などのステータスを付けられるため、管理部門は全案件の進み具合を一覧で確かめられます。工程や現場の管理にANDPADをお使いの会社は、オプションのANDPAD連携で、イエプロの見積・積算データを再入力せずに取り込めます。着工前に決め切る段取りを仕組みにしたい方は、資料請求(無料)からご確認ください。

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