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リフォームの相見積で選ばれる見積書の作り方|施主様の比べ方に合わせた書き方と伝え方

相見積で「選ばれる見積書」と「価格で負ける見積書」

「他社さんはもう少し安かったのですが」。リフォームの商談では、施主様が複数社の見積を並べて検討するのが当たり前です。ここで価格だけを武器にすると、利益を削って受注するか、安さで勝負する相手に負けるかの二択になりがちです。

相見積で施主様が何をどう比べているのかを知り、比べられても選ばれる見積書と提案を用意できるかどうかが、リフォーム会社の利益を左右します。本記事では、施主様向けの相談窓口が勧めている見積書の見比べ方を手がかりに、相見積で選ばれる見積書の書き方、比較表の渡し方、金額の差の説明の仕方、勝ち負けの振り返り方を整理します。

施主様は「比較表をつくって比べる」よう勧められている

国土交通大臣の指定を受けた住宅リフォーム・紛争処理支援センターの相談窓口「住まいるダイヤル」は、施主様向けにリフォーム見積書セルフチェックのポイントを公開しています。そこでは、複数の事業者から見積書を取り、比較表をつくって見比べることが勧められ、工事箇所・数量・仕様・単価の確認や、工事範囲・追加工事・解体工事費の確認が挙げられています。見積書から事業者の技術力やコミュニケーション力、事後対応の体制が見えてくる、とも説明されています。

つまり施主様は、総額だけでなく、項目ごとに見積書を並べて比べるよう勧められています。住宅リフォーム推進協議会の実態調査(2025年2月公表)でも、リフォームを検討している人の不安の上位に「見積もりの相場や適正価格がわからない」(30.5%)が入っています。比べ方の分からない施主様ほど、比べやすい見積書を出した会社を信頼します。

施主様が相見積で比べている項目

施主様が見比べる項目には、比べやすいものと比べにくいものがあります。

比べる項目比べやすさ見積書で示すこと
総額・工期比べやすい税込の総額、着工日と完了日
工事の範囲比べにくい含まれる工事と含まれない工事
数量比べにくい面積・長さ・個数と、その根拠になる寸法
仕様・品番比べにくいメーカー名・シリーズ・品番・色
単価比べにくい材料と手間を分けた単価
保証とアフター比べにくい保証の期間と範囲、点検の時期
会社と担当者感覚で判断される説明の分かりやすさ、質問への回答の速さ

総額や工期のように比べやすい項目は、差が数字ではっきり見えるため、価格競争の主戦場になります。一方、工事の範囲・数量・仕様は、施主様が自力では比べきれません。ここに、会社の側から比べ方を示す余地があります。

比べられても選ばれる見積書の書き方

図1 価格だけで比べられる見積書と、中身で比べてもらえる見積書

価格だけで比べられる見積書

  • 「◯◯工事一式」で記載
  • 材料名・品番の記載なし
  • 含まれる範囲があいまい
  • 「アフター保証あり」のみ

中身で比べてもらえる見積書

  • 材料・手間・諸経費を分けて記載
  • メーカー・品番まで明記
  • 含まれない工事も明示
  • 保証期間・点検の時期を具体的に

比べにくい項目こそ、会社の側から示す

内訳を工事の種別ごとに分ける

「内装工事一式」で済ませると、施主様は他社の同じ項目と照らして妥当性を判断できず、結局は総額の大小だけで比べることになります。材料・手間・諸経費を分けて書き、内訳を明らかにすると、金額の根拠そのものが伝わります。

内訳を明らかにした見積書は、法律でも求められている形です。建設業法第20条では、建設業者は工事の種別ごとの材料費・労務費などの内訳を記載した見積書を作るよう努めなければならないとされ、その材料費などの額は、工事に通常必要と認められる額を著しく下回ってはならないとされています。相見積で競り合っても、手間を削った見積で受注することは避けなければなりません。

使う材料と品番を書く

「キッチン工事」ではなく、メーカー名・シリーズ名・品番まで書くと、他社の見積との比べ方がはっきりします。安い他社が別メーカーの下位の品番を使っているなら、その事実が伝わった時点で、金額の差は「高い安い」ではなく中身の違いとして受け止められます。

数量の根拠と工事の範囲を示す

床や壁の面積、配管の長さなど、数量の根拠になる寸法を書いておくと、施主様は数量が正確に積算されているかを確かめられます。あわせて、養生・搬入搬出・既存設備の撤去・廃材の処分など、他社の見積で抜けがちな項目を自社の見積には含めて書きます。含まれない工事と、追加になる場合の条件も明記しておくと、「後から追加で請求されない安心感」が見積の段階で伝わります。

保証の内容を具体的に書く

「アフター保証あり」の一言では差がつきません。工事部分の自社保証の期間と範囲、設備機器のメーカー保証との関係、点検の時期と回数まで書き分けると、他社のあいまいな保証の表現との差が生まれます。項目の立て方や「一式」表記の扱いは、リフォーム見積書の書き方でまとめています。

比較表は自社から渡す

施主様が比較表をつくるよう勧められているのなら、比較表のひな型を自社から渡してしまうのが近道です。自社の見積を記入した状態で、他社の見積を書き込める欄を空けておきます。

比べる項目当社A社B社
総額(税込)記入済み空欄空欄
工期(着工日〜完了日)記入済み空欄空欄
主な設備のメーカー・品番記入済み空欄空欄
工事に含まれる範囲記入済み空欄空欄
含まれない工事・追加の条件記入済み空欄空欄
廃材処分・養生・諸経費記入済み空欄空欄
保証の期間と点検の時期記入済み空欄空欄

比較表を渡す目的は、他社の見積の欠点を指摘することではありません。施主様が同じ物差しで比べられるようにすることで、自社の見積の中身が正しく評価される状態をつくることです。項目の順番は、自社の見積書の並びとそろえておくと、施主様が書き写しやすくなります。

見積書を提案の資料として構成する

見積書は金額を伝える書類であると同時に、自社の仕事ぶりを伝える提案の資料でもあります。相見積で選ばれる見積書は、おおむね次の構成でできています。

図2 相見積で選ばれる見積書の構成
  1. 表紙施主様名・工事名・提出日・合計金額・有効期限
  2. 工事の概要施工範囲・工期・支払条件
  3. 見積の内訳材料・手間・諸経費を工事の種別ごとに
  4. 使用する材料の一覧メーカー・品番・グレード
  5. 工事の条件前提条件・含まれない工事・追加の条件
  6. 保証とアフター保証の期間・点検の予定
  7. 会社と担当者の紹介施工事例・担当者の経歴

金額を伝える書類から、比べて選んでもらう資料へ

類似の条件の施工事例を数ページ添えると、仕上がりのイメージが具体的になります。写真だけでなく「施主様の要望」「提案の内容」「施工のポイント」をセットで載せると、要望をどう形にする会社なのかが伝わります。担当者の経歴や資格、施工中の進捗報告の方法も載せておくと、「どんな人が、どう進めてくれるのか」という不安に先回りできます。

金額の差を説明するときの伝え方

施主様から「他社のほうが安い」と言われたら、まず他社の見積との違いを一緒に確かめます。施主様が他社の見積を見せてくださる場合は、品番・数量・含まれる工事・保証の4点を並べると、金額の差の理由が見えることが多くあります。

  • 設備の品番やグレードが違う
  • 数量が少なく見積もられている、または一式でまとめられている
  • 廃材の処分や下地の補修などが含まれていない
  • 保証の期間や範囲が違う

説明するときは、他社を悪く言わず、事実だけを並べます。「こちらは品番が違うので、同じ品番にそろえるとこの金額になります」「こちらには廃材の処分費が含まれていないようなので、確認されるとよいと思います」と伝えれば、施主様は自分で判断できます。他社の批判は、施主様の選んだ候補を否定することになり、かえって信頼を損ないます。

それでも金額を合わせてほしいと求められたら、同じ内容のまま値引くのではなく、グレードや範囲を変えた案を示します。値引きが粗利に与える影響と、粗利率の下限の決め方はリフォーム会社の利益率の考え方で解説しています。

提示の早さも比べられている

相見積では、見積の中身と同じくらい、提示までの早さが効きます。先に具体的な金額を示した会社が施主様にとっての基準になり、あとから出す会社はその基準と比べられる立場から商談を始めることになるからです。現地調査のその場で見積を示すための準備は、リフォームの見積を即日・その場で出す方法で紹介しています。

質問への回答の早さや説明の分かりやすさも、施主様は見ています。住宅リフォーム推進協議会の同じ調査では、実際にリフォームをした人が事業者を選ぶ際に最も重視した点は「担当者の対応・人柄」(44.6%)でした。接点ごとの対応の整え方はリフォームの顧客満足度を高める方法でまとめています。

相見積の勝ち負けを振り返る

相見積の結果は、勝った案件も負けた案件も記録して振り返ります。失注した施主様には、差し支えのない範囲で理由を伺います。「金額」と答えられた場合も、どの程度の差だったのか、何が違ったのかまで聞けると、次の見積に生かせます。

記録する項目振り返りで分かること
工事の種類と金額相見積になりやすい工事、勝ちやすい工事
提示までの日数早く出した案件の勝率との関係
競合した会社の数比べられる場面の多さ
結果と、施主様から聞いた理由価格以外で負けた理由(説明、品番、工期など)
値引きの有無と額値引きで取った案件の粗利率

半年ほど記録が貯まると、どの工事で負けやすいのか、提示が遅れた案件で負けていないかが見えてきます。勝ちやすい工事を見積の基準にし、負けやすい工事は品番の選び方や説明の仕方を見直します。

よくある質問

相見積では、一番安くないと選ばれないのでしょうか?

そうとは限りません。調査でも、事業者を選ぶ際に最も重視されているのは担当者の対応で、工事の質や価格の明朗さが続いています。中身を比べてもらえる見積書を出し、金額の差の理由を説明できれば、最安でなくても選ばれる余地は十分にあります。逆に、内訳の分からない見積書では、総額の大小だけで比べられてしまいます。

施主様から他社の見積書を見せられたら、どう対応すればよいですか?

品番・数量・含まれる工事・保証の4点を一緒に並べて確かめ、違いを事実として伝えます。他社の価格や内容を批判するのは避けましょう。同じ条件にそろえた場合の自社の金額を示すと、施主様は納得して判断できます。見せていただいた他社の見積書の内容は、施主様の了承なく社外に伝えたり、ほかの商談に使ったりしないことも大切です。

相見積をしていると言われたら、最初に何を確かめればよいですか?

施主様がいつまでに、何を基準に決めたいかを伺います。決める時期が分かれば提示の期限を逆算でき、重視している点が分かれば見積書と説明で強調する項目が決まります。あわせて、ほかの会社に伝えている要望と自社に伝えている要望が同じかどうかを確かめておくと、条件のそろわない比べ方を避けられます。

まとめ

相見積で施主様は、総額だけでなく工事の範囲・数量・仕様・単価・保証を比べるよう勧められています。工事の種別ごとの内訳、品番、数量の根拠、含まれない工事、保証の内容を書いた見積書を出し、比較表のひな型を自社から渡せば、価格以外の中身で比べてもらえます。

金額の差は他社を批判せずに事実で説明し、値引きではなく内容を変えた案で応えます。提示の早さと担当者の対応も比べられていることを忘れず、勝ち負けの記録から見積と説明を見直し続けることが、価格競争に巻き込まれない営業につながります。

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