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リフォーム業の価格戦略と利益率|値下げに頼らない適正価格の考え方

相見積もりで「他社より高い」と言われ、つい値引きして受注した——リフォーム業なら一度は経験する場面ではないでしょうか。相見積もりが当たり前の業界特性上、価格は常に値下げ圧力を受けます。

しかし値下げで取った案件は利益が薄く、続ければサービス品質の維持も難しくなります。本記事では、リフォーム工事の原価構造を踏まえ、値下げに頼らない価格戦略と、利益率を健全に保つ実務の考え方を解説します。

原価構造の把握が出発点

価格戦略は、自社の原価構造を正確につかむことから始まります。リフォーム工事の原価は、おおむね次の要素で構成されます。

要素内容
材料費建材・設備・付属品
職人手間施工の工賃
諸経費運搬・仮設・養生・廃材処分
管理費現場管理・営業・事務
粗利会社の利益

比率は案件の種類や規模によって大きく変わりますが、構成要素を押さえておくと、どこで利益が生まれ、どこで削られているかが見えてきます。

たとえば工期が延びれば管理費や仮設の費用が膨らみ、発注をやり直せば材料費がかさむというように、利益が削られる経路は項目ごとに異なります。値下げの判断も、どの項目を圧縮できる根拠があるのかを考えずに行えば、単なる粗利の切り売りになります。

価格ポジショニングを明確にする

自社がどの価格帯で、どんな価値を提供するのか。この立ち位置があいまいなまま案件ごとの値付けをすると、値下げ圧力に流されやすくなります。価格と付加価値の組み合わせで、ポジションは4つに整理できます。

図1 価格ポジショニングの四象限

高価格・低付加価値

  • 価値が伝わらず顧客離れ
  • リピート・紹介が育たない

高価格・高付加価値

  • 利益率が高い
  • 価格競争から離れられる
  • 顧客層は限定的

低価格・低付加価値

  • 値下げ圧力が最も激しい
  • 規模の体制がないと苦しい

低価格・高付加価値

  • 施主様には魅力的
  • 会社の持続性に課題

上段=高価格・下段=低価格/左列=付加価値が低い・右列=高い

高価格・高付加価値は、価格に見合うデザイン性・品質・提案力を提供するポジションです。顧客層は限定されますが利益率は高く、価格競争から離れた事業運営ができます。低価格・高付加価値は施主様には魅力的でも、会社側の持続性に課題が出やすい形です。

短期的な受注にはつながりますが、長期的には利益率悪化のリスクを抱えます。低価格・低付加価値は競争が最も激しく常に値下げ圧力にさらされる領域で、大量受注で規模の利益を出せる体制がなければ利益確保は困難です。

高価格・低付加価値は、価格の高さに見合う価値が伝わらず、リピートや紹介が期待できません。まず現在の自社がどの象限にいるかを確認し、目指す位置との差を埋める打ち手を考えることが、個別案件の値付けのぶれをなくす近道です。

値下げ圧力には「説明」と「選択肢」で応える

価格の妥当性を説明する

「なぜこの価格なのか」を施主様に丁寧に説明できれば、価格交渉の局面は減ります。使用する材料の具体名・品番・グレード、施工する職人の経験、保証内容など、価格を構成する要素を見積書や提案資料で可視化しましょう。

同じ「浴室リフォーム」でも、下地処理の範囲や設備のグレードで金額は変わります。内訳が「一式」ばかりの見積ではこの説明ができず、中身の見えない金額だけで他社と比較されてしまいます。

選択肢を用意する

一つの価格だけを提示するのではなく、標準プラン・推奨プラン・予算を抑えたプランのように、施主様が選べる形にします。

このとき、安いプランでは何が減るのか(設備のグレード・保証の範囲・仕上げの範囲など)を明示すると、施主様が納得して自分で選べます。値引き交渉は「同じ内容を安く」という要求ですが、選択肢の提示によって「内容と価格の組み合わせを選ぶ」話に変わります。

価値を言語化する

自社の提供価値を、施主様に伝わる言葉にしておきます。デザイン性なら「○○を得意とする設計者が担当」、品質なら「○○材を標準採用」、保証なら「○年の自社保証」、対応なら「緊急時24時間対応」といった具合です。

利益率改善の4つのレバー

適正価格で受注する努力と並行して、原価側の改善にも取り組みます。レバーは4つあります。

図2 利益率改善の4つのレバー

1. 見積精度

  • 単価マスタの整備
  • 見積と実績の差異分析

2. 変更工事の回収

  • 差額の計算ルール
  • 承認と記録を残す

3. 材料ロス削減

  • 発注ミスを防ぐ
  • 余剰材料を減らす

4. 工期管理

  • 延長は経費が積み上がる
  • 協力会社との連携

売価だけでなく原価側の4レバーで利益率を守る

第一に、見積精度の向上です。見積段階で原価を正確に把握できていないと、工事後に想定外のコストで利益が削られます。単価マスタの整備と、案件ごとの見積・実績の差異分析が基本です。第二に、変更工事の適正な回収です。

差額の計算と承認プロセスがあいまいなまま変更要望に応じると、追加コストは自社の持ち出しになります。解体後に下地の傷みが見つかった際、補修をその場の口約束で済ませると請求時にもめる原因になるため、変更内容・差額・承認の記録を残す運用を徹底しましょう。

第三に、材料ロスの削減です。発注ミス・現場でのロス・余剰材料は利益を直接削るため、発注管理と現場管理の精度を高めます。第四に、工期管理です。工期が延びるほど管理費・仮設費・協力会社費が積み上がるので、工程管理と協力会社との連携が利益に直結します。

案件別の損益を見える化する

会社全体の決算だけでは、どの案件で利益が出て、どの案件で損をしたのかが分かりません。案件単位の損益把握は、3つの段階で行います。まず見積とは別に、自社の原価ベースで実行予算を案件ごとに作成します。

工事中は発生した材料費・外注費を随時記録し、実行予算との差異をつかんでおくことが大切です。完工時には見積・実行予算・実績の三つを比較し、差異の原因を分析します。「材料費が予算を超えたのは発注のやり直しがあったから」と原因まで掘り下げれば、次の見積精度と現場運営の改善につながります。

なお、リフォーム業の利益率は案件の種類・規模・地域で大きく異なるため、一律の目安は示しにくいものです。重要なのは、自社の案件タイプごとに安定した利益率を把握し、そのラインを下回らない価格設定を守ることです。

価格戦略は人材戦略でもある

価格戦略は、採用や育成にも影響します。低価格戦略は案件数を多くこなす必要があり、職人・営業・管理のいずれにも高い負荷がかかりやすくなります。

高付加価値戦略では、設計力・提案力・コミュニケーション力を持つ人材が必要で、採用と育成のコストと時間も無視できません。どちらを選ぶにしても、価格設定と人員体制はセットで考えることが欠かせません。

まとめ

リフォーム業の価格戦略は、値下げ競争に加わることではなく、原価構造を把握し、自社のポジショニングを明確にし、価格の妥当性を施主様に伝わる形で説明することが基本です。

値下げ要求には選択肢の提示で応え、見積精度・変更工事の回収・材料ロス削減・工期管理の4つのレバーで利益率を改善します。案件ごとの予実管理と完工時の振り返りを回し続ければ、適正価格で選ばれる健全な経営基盤が育っていきます。

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値下げに頼らない価格戦略は、原価が正確に把握できてはじめて成立します。イエプロは標準売価・標準原価を設定でき、原価の自動計算により案件ごとの利益を確認しながら提案できます。商品別に端数調整もできるため、見やすい金額を示しながら利益率を守れます。

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