リフォーム会社の業務改善の進め方|業務フロー別のムダの見つけ方と効率化の具体例
現地調査から戻って夜に見積を作り、翌朝は発注と現場の段取り、移動の合間に問い合わせ対応。リフォーム会社の現場は、商談からアフター対応まで多岐にわたる業務を少人数で回すのが一般的です。忙しさが続くと「人を増やすしかない」と考えがちですが、採用が難しいいま、先に手を付けるべきは同じ人数で回る仕事のやり方への見直しです。
本記事では、リフォーム会社の業務改善を「どこに時間が消えているか」の把握から始め、問い合わせから見積・発注・施工管理・アフターまでの業務フロー別のムダと改善例、改善策を考えるときの型、効果の測り方、費用と助成金の考え方まで、順に解説します。
リフォーム会社でいま業務改善が求められる理由
一つ目の理由は人手不足です。営業・現場管理・事務のいずれも採用が難しく、一人が営業から見積、発注、現場の段取りまでを兼ねる体制が当たり前になっています。この体制では、一つの工程で起きた手戻りがそのまま全体の遅れにつながります。
二つ目は労働時間の制約です。建設業には、一部の特例を除いて2024年4月から時間外労働の上限規制が適用されています(厚生労働省)。社員の残業や休日出勤で吸収してきた業務量は、これまでと同じやり方では続けられません。
業務改善は、こうした制約のなかで受注と品質を落とさずに仕事を回すための経営課題です。現場の努力に頼るのではなく、会社として仕事の流れを見直すことが求められています。
業務改善・業務効率化・DXの違い
似た言葉ですが、指す範囲が異なります。違いを整理しておくと、何から手を付けるかがぶれません。
| 言葉 | 意味 | リフォーム会社での例 |
|---|---|---|
| 業務改善 | 仕事のやり方そのものを見直し、ムダ・ムラ・ミスを減らす取り組み | 現地調査の聞き漏れをチェックリストでなくす、二重の報告をやめる |
| 業務効率化 | 同じ成果をより少ない時間や手間で出すこと。業務改善の主な目的の一つ | 見積1件の作成時間を半分にする |
| DX | デジタル技術で業務やサービスの形を変えること | 見積を持ち帰らず、現場で作成して提示する運用に変える |
進める順序は業務改善が先、デジタル化は後です。やり方が整理されていない業務をそのままシステムに載せても、ムダがデジタルに置き換わるだけだからです。デジタル化の進め方については、小規模リフォーム会社のDXの始め方で詳しく解説しています。
まず「どこに時間が消えているか」を把握する
改善に着手する前に、どこに時間がかかっているかを把握します。おすすめは、1週間程度、担当者ごとの業務内訳を書き出してみることです。あわせて次の観点で棚卸しします。
- 繰り返し発生している作業を洗い出す
- 手戻りや「探す時間」が発生している場面を見つける
- 情報が分散している領域を特定する
分単位の正確な計測でなくてもかまいません。「見積のたびに単価を探している」「現場写真がどこにあるか分からない」など、感覚ベースで書き出すだけでも改善の候補は見えてきます。逆に、この現状把握を飛ばしてツール選定から入ると、効果の薄い業務に投資してしまいがちです。
書き出した業務は、問い合わせから引き渡し後までの流れに沿って並べ、工程ごとにムダが出ていないかを確認します。リフォーム会社でムダが出やすい箇所は図1のとおりです。
上流の工程で生まれたムダほど、後工程で大きな手戻りになる
改善策は「ECRS」の順で考える
ムダが見つかったら、改善策を考える順序にも型があります。製造業の現場で使われてきた「ECRS(イクルス)」は、やめる・まとめる・入れ替える・簡素化するの順に検討する考え方で、リフォーム会社の事務や段取りにもそのまま当てはめられます。
E やめる
- 誰も見ていない社内報告
- 同じ内容の二重入力
C まとめる
- 現地調査と概算提示を1回の訪問で
- 発注を曜日で集約
R 入れ替える
- 見積作成を事務所から現場へ
- 段取りの確認を前日に
S 簡素化する
- チェックリストとテンプレート
- 単価マスタで判断を減らす
左から順に検討する。いきなり「簡素化」から入らない
この順序に意味があるのは、左ほど効果が大きく、費用もかからないからです。そもそも不要な作業を効率化しても意味がありません。多くの会社はテンプレートやツールづくりといった「簡素化」から入りがちですが、先に「この作業は本当に必要か」「別の作業とまとめられないか」を問うだけで、手を付けずに消える仕事が見つかります。
業務フロー別の改善ポイント
ここからは、図1の工程ごとに具体的な改善策を見ていきます。
工程1 問い合わせ対応
電話やフォームで聞くべき項目をテンプレート化し、誰が対応しても最低限の情報が揃う状態を作ります。工事内容の概要、おおよその予算感、希望時期、現地調査の候補日、連絡の取りやすい時間帯を押さえておけば、その後の段取りがスムーズになります。
あわせて、問い合わせ受付の自動返信と、よくあるやり取りの返信テンプレートを用意すると、対応時間そのものも短縮できます。問い合わせの時点で工事箇所の写真を送ってもらうルールにすると、現地調査の準備も進めやすくなります。
工程2 現地調査
調査項目のチェックリストを紙またはタブレットで携帯し、撮り忘れや聞き漏れのない調査を標準化します。写真は「建物の全景、工事箇所の全体、寸法を測っている部分」の順に撮る、といった撮影ルールを決めておくと、担当者が替わっても必要な写真が揃います。
撮影した写真はファイル名や保存フォルダのルールも決めておきます。見積作成や施工のときに「あの写真はどこか」と探す時間がなくなり、再訪問の回数も減ります。
工程3 見積作成・提案
見積作成が長引く原因の多くは、計算そのものではなく、単価を探す時間と書式に転記する時間です。作業ごとに分解すると、改善すべき箇所がはっきりします。
| 作業 | 時間の傾向 | 改善策 |
|---|---|---|
| 単価を探す | 長い | 単価マスタの整備 |
| 数量を拾う | 中 | 現地調査写真と採寸記録の整理 |
| 計算する | 短い | 書式の標準化 |
| 書式に転記する | 長い | テンプレートとの連動 |
| 確認・修正する | 中 | チェックリストの運用 |
対策の中心は単価マスタの整備です。よく出る工事の単価を一覧化し、品番・色・規格・単価・単位をセットで登録しておけば、案件ごとにゼロから単価を決める作業がなくなり、転記も大幅に短縮できます。あわせて、見積書の項目と書き方を社内で統一しておくと、担当者による記載のばらつきも減ります。
見積の作成場所を事務所から現場へ移せると、効果はさらに大きくなります。持ち帰りがなくなれば、見積提示のための再訪問そのものが不要になるからです。ECRSでいう「入れ替える」の代表例です。
工程4 発注・施工管理
発注漏れや重複発注は、利益を直接削るムダです。案件ごとに発注リストを作り、発注済み・納品予定・納品完了のステータスを見える化しましょう。納期とメーカーの連絡先をひも付けて記録する、発注前のダブルチェックをルール化する、仕様変更時の発注修正の手順を決めておく、といった手当てで漏れは大きく減らせます。
複数の現場を並行する施工管理では、進捗の把握と情報共有が課題になります。職人・現場監督・事務所で現場写真をその日のうちに共有できる仕組みがあれば、現場に行かなくても状況を把握できます。日報も、作業内容・明日の予定・必要な材料・課題をフォーマット化しておくと、情報の抜け漏れが減ります。移動時間そのものが大きなコストになるだけに、こうした仕組みは移動回数の削減にも直結します。
工程5 請求・アフター対応
工事中に発生した追加や変更は、その場で内容と金額を書面にし、完工時の請求書に必ず反映するルールにします。口頭で引き受けた追加工事は請求漏れになりやすく、あとから請求すると施主様との関係にも影響します。
引き渡し後の不具合対応や定期点検では、過去の工事情報にすぐアクセスできるかどうかが対応スピードを決めます。施工内容・使用材料・担当者・連絡履歴を案件ごとに一元管理しておけば、問い合わせを受けたその場で状況を確認できます。引き渡し時に次回点検日を決めて記録しておくと点検漏れを防げ、OB顧客へのリピート提案の土台にもなります。
改善を定着させる4つのステップ
改善策が見つかっても、定着しなければ元のやり方に戻ります。次の4つのステップで、小さく試しながら広げていきます。
STEP1
業務フローを書き出す
誰が・何を・どの順で行うか
STEP2
改善する工程を1つ選ぶ
手戻りと探す時間に注目
STEP3
費用のかからない改善を試す
ルールとテンプレートから
STEP4
必要な部分だけツール化
要件を絞って選定する
業務の見直しが先、ツールの選定は後
ステップ1 業務フローを書き出す
問い合わせから引き渡し後までの仕事を、「誰が・何を・どの順で」行っているかの形で書き出します。付箋やホワイトボードで十分です。書き出してみると、担当者によって手順が違う工程や、同じ情報を何度も入力している箇所が見えてきます。
ステップ2 改善する工程を1つ選ぶ
一度にすべてを変えようとせず、最初は1つの工程に絞ります。判断の基準は、かかっている時間の長さ、発生する頻度、後工程への影響の大きさの3つです。多くのリフォーム会社では、見積作成か現地調査のやり直しが最初の候補になります。
ステップ3 費用のかからない改善を試す
ECRSの順に改善策を考え、ルールの変更、チェックリスト、テンプレートといった費用のかからない方法から試します。いきなり専用ツールを探すのではなく、Excelなどいま使っている道具で解決できないかを先に確かめましょう。試行期間は2週間から1か月程度を目安にし、うまくいかなければ現場の声を聞いてやり方を修正します。
ステップ4 必要な部分だけツール化する
ルールやテンプレートでは限界がある業務だけを、ツールで置き換えます。多機能なツールに最初から飛びつくと、機能を持て余したり自社の業務に合わなかったりして、定着しないまま費用だけが残りがちです。見積業務をツール化する場合の比較の観点は、リフォーム見積システムの選び方で整理しています。
改善は一度整えて終わりではありません。テンプレートやチェックリストは、使ってみて過不足があれば更新し、実態に合わせて育てていくものです。月に一度、うまく回っていない業務がないかを振り返る場を持つと、改善が一過性で終わらず、習慣として根づいていきます。
改善の効果は数字で確かめる
改善の効果を感覚で判断すると、続けるべきかやめるべきかの判断がぶれます。リフォーム会社で測りやすく、改善の成果が表れやすい指標は次のとおりです。
| 指標 | 測り方 | 見るポイント |
|---|---|---|
| 見積提示までの日数 | 現地調査日から見積提示日までの日数 | 短いほど、他社との比較検討が始まる前に提示できる |
| 見積1件の作成時間 | 数件を計測して平均を取る | 単価探しと転記が減ったかを確認する |
| 1案件あたりの訪問回数 | 契約までの訪問回数を記録する | 移動時間と人件費に直結する |
| 発注ミス・手戻りの件数 | 月ごとに件数を記録する | ルールと標準化の効果を見る |
| 社員の時間外労働 | 月ごとの残業時間を集計する | 上限規制への対応状況を確認する |
改善前の数字を1か月分だけでも記録しておくと、改善後と比較できます。数字が出ると、次にどの工程へ手を付けるかの判断材料にもなり、社員にも改善の成果を共有しやすくなります。
業務改善にかかる費用と助成金
業務改善の多くは、費用をかけずに始められます。チェックリストの整備、書式のテンプレート化、発注や報告のルールづくりは無料で、クラウドストレージでの写真共有も低コストで実現できます。効果を確かめながら、業界特化のツール、基幹システムへと段階的に投資を広げていく進め方が現実的です。
設備やシステムへの投資を伴う場合は、公的な支援も検討できます。厚生労働省の業務改善助成金は、生産性向上に役立つ設備投資などを行い、あわせて事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた場合に、その設備投資などの費用の一部を助成する制度です。賃金の引き上げが要件になっている点に注意し、対象となるコースや助成額、申請期間は年度ごとに変わるため、公式サイトで最新の内容を確認してください。
よくある質問
リフォーム会社の業務改善は何から始めればよいですか?
1週間ほど業務の内訳を書き出し、問い合わせから引き渡し後までの流れのなかで最も時間が消えている工程を1つ選ぶことから始めます。多くの会社では見積作成か現地調査のやり直しが候補になります。選んだ工程にECRSの順で改善策を当て、費用のかからない方法から試してください。
業務改善と業務効率化の違いは何ですか?
業務改善は、仕事のやり方を見直してムダ・ムラ・ミスを減らす取り組み全体を指します。業務効率化は、同じ成果をより少ない時間や手間で出すことで、業務改善の主な目的の一つです。業務改善にはミスの削減や品質の均一化など、時間の短縮以外の成果も含まれます。
少人数の会社でも業務改善の効果は出ますか?
出ます。少人数の会社ほど一人が営業・見積・現場管理を兼ねているため、一つの工程のムダが全体の遅れに直結し、改善の効果も大きく表れます。決めたルールを全員にすぐ浸透させられる点も有利です。まずは費用のかからないチェックリストやテンプレートから始めてください。
まとめ
リフォーム会社の業務改善は、大きなシステムの導入からではなく、どこで時間が消えているかの把握から始まります。問い合わせ・現地調査・見積・発注と施工管理・請求とアフターの業務フローに沿ってムダを探し、やめる・まとめる・入れ替える・簡素化するの順で改善策を考えましょう。
改善する工程は1つに絞り、費用のかからない方法で試してから、必要な部分だけをツール化する。見積提示までの日数や訪問回数といった数字で効果を確かめれば、限られた人数でも改善を積み上げていけます。まずは1週間、自社の時間の使い方を書き出すことから始めてみてください。
見積業務から改善する「イエプロ」
業務改善の効果が大きく表れやすいのは、後工程への影響が大きい見積です。イエプロは、自社でよく使う商品やプランを登録しておくことで、現地調査のその場でタブレットから見積を作成・提示でき、持ち帰り作業と見積提示のための再訪問を減らせます。見積書・オリジナルデータシート・原価表は自動で作成され、紙で渡すほか、QRコードやURLでお施主様に閲覧いただけます。
保存した見積データの引用・編集、見積ステータスによる全案件の進捗確認、OB顧客のリスト作成など、見積の前後の業務を支える機能も備えています。施工管理にANDPADをお使いの場合は、見積・積算データをANDPADに取り込めるANDPAD連携(オプション)で再入力の手間もなくせます。導入の進め方は資料請求からお気軽にご相談ください。

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